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ドイツの脱原発

渋谷区内で開かれた、「ドイツはどの様に脱原発に舵を切ったか」という講演会に参加して来ました。国内のNPO・NGO・諸団体が主催した会で、講演者は、ドイツの大学で教鞭を執る、日本語も達者なアメリカ出身の環境政策が専門の女性学者の方でした。

講演を拝聴する前までは、ドイツの脱原発政策は、EU諸国における環境問題に対して、リーダーシップを発揮したい面と、同国の宰相の政治的なスタンドプレー的な側面があるのではないかと個人的に考えていましたが、内容は少々違っていたようでした。(以下、講演者の話より私の解釈)

ドイツ(当時は西独)政府は、1970年台の石油危機以降、1970年代から1980年代の初めにかけて急速に原子力開発を進めた。しかし、1986年のチェルノブイリ発電所事故と前後して原子力の安全性に対する危惧から国民の原子力反対運動が活発化し、2002年4月には改正原子力法(脱原子力法)が施行された。この法律により新規原子力発電所の建設・操業が禁止され、既存の原子炉については、ドイツ全国の総発電規制値を達成した後、操業許可は消滅すると定められた。近年、輸入エネルギー依存度の増加やエネルギー価格の上昇、地球温暖化対策がエネルギー政策の重要な課題となり、ドイツでも原子力発電が長期的なエネルギー安定供給のオプションとして見直されるようになった。2010年に発表した「エネルギー計画2050」では、「2022年までにすべての原子力発電所の稼働を停止する政策」では必要な電力を賄う見通しが立たないとして、再生可能エネルギー等による電力供給のインフラが整うまでの移行措置と位置づけ、原子炉の運転延長を認めた。しかし、2011年3月の福島第一発電所事故発生により、原子炉の運転期限延長の凍結(原子力モラトリアム)、1980年以前に運転を開始した7つの原子炉の即時停止を盛り込んだ政策が2011年6月に閣議決定した。これら政策を含む原子力法第13次改正法が2011年8月6日に施行されている。
2017年1月末時点、稼働中の原子炉は8基、2015年の原子力発電による正味電力量は8総発電電力量に占める原子力の割合は14.09%である。これらの原子炉は全て、2022年までに閉鎖される予定である。

短絡的に考えていた自分が少々恥ずかしく思えました。

一方、日本政府は2014年4月に閣議決定したエネルギー基本計画で、原子力発電を「重要なベースロード電源」と位置づけ、安全性に配慮しながら再稼動すると同時に、一般水力発電や地熱発電など多様な電力源をベースロード電源とする方針を示しました。また気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は2014年の報告書で、原子力発電は「ベースロード電源で、温室効果ガスの排出削減に貢献できる」としながらも「リスクやさまざまな障壁がある」と明記しました。

国内における、2基の原発再稼働、新規原発の建設計画の推進等、脱原発派には絶望的な状況の様に思えますが、女性学者が講演中に言われた、「日本には原発ゼロを達成できる可能性は十分にある。」という言葉に一縷の望みを感じました。


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